おいしいお米の産地と名水地の関係~日田~
大分県の北西部にある、名水地。それが日田市です。おいしい水を生かすべく、サッポロビールやいいちこなどが、この地に蒸留所をおいています。水のおいしいところで作られるおいしいお酒は、日本のお酒の歴史を語るうえで欠かせないものです。
そんな日田には、「おいしいお米」も育っています。今回は、この「日田のおいしいお米」についてみていきます。
「ヒノヒカリ」という品種について
日田のお米を語るとき、必ず出てくる品種があります。それが「ヒノヒカリ」というお米です。
このヒノヒカリという品種は、1979年にその歴史を開始します。ただし植えられるようになったのはそれから10年後のことです。
味がとてもよく、かみごたえのあるお米と広く知られています。お米の粒自体は大きくありませんが、その食感の良さと味が、多くの人に愛される理由と言えるでしょう。
主張の強くない味ですから、おかずの名脇役として活躍してくれます。また「初心者向けのお米」とでもいうべきか、少し炊き方に失敗してしまっても、おいしく味わえるほどの包容力を持っているお米でもあります。
ちなみにこの「ヒノヒカリ」は、かの「コシヒカリ」と「黄金晴(こがねばれ)」を祖としています。
「黄金晴」は1981年に登録された米であり、愛知県で生まれました。とてもたくさんとれる品種であり、とても耐倒伏性(イネが倒れやすいか倒れにくいかを表す言葉。倒れてしまうと、収穫できる量が少なくなってしまったり、品質が落ちたりする)に優れた品種です。
これと、おいしくはあるもののそれほど耐倒伏性が強くはないコシヒカリをかけあわせて誕生したヒノヒカリは、コシヒカリと似た味わいを持ちつつも、値段はコシヒカリよりも安く、耐倒伏性がコシヒカリよりも優れている庶民派のお米として広く販売されています。
日田の誇り、ヒノヒカリ
この「ヒノヒカリ」は、日田(大分)とのかかわりが非常に深いものです。ヒノヒカリ自体は全国で作付けのされているものですが、あらゆる県のなかで大分県がもっとも多くのヒノヒカリを栽培しています。大分県民にとっては、「故郷の味」の象徴だと言えるでしょう。
この大分県のヒノヒカリですが、これは単に、作付け量が多い、というだけではありません。品質も一級品です。2年続けて、「特A級」に選ばれた実力派であり、そのおいしさはお墨付きです。
ただ残念なことに、平成26年度のランキングではA級に落ちてしまいました。(ちなみに3年間続けて特Aランクを維持しているヒノヒカリもあります。奈良県産のものと、熊本県の城北産のものがそれです)
もっともA級におちたからといって、日田のヒノヒカリがまずいわけでは決してありません。
値段はまちまちです。10キロ換算で1万2000円近くになるものもあれば、5000円程度で収まるものもあります。自分が求めるランクのものを選ぶとよいでしょう。
お酒に向く米も育てられている
ここまでは「食べるお米」として、ヒノヒカリをとりあげてきました。しかし上でも述べたように、日田はお酒の名産地でもあります。数多くの地酒が生まれており、愛飲家も多いと言えるでしょう。
そんな地酒の精製のなかで、よく使われているお米。それが「山田錦」です。
山田錦は、酒造好適米(お酒をつくるのに向いているお米を指す名称)のなかでもっとも有名なものだと言われており、さまざまなところで育てられています。
山田錦を育てること自体は非常に難しく、最適な気温と手間をかけたケアが必要です。ただその分、山田錦から作られるお米は、清涼感とともに、心がほっとするような広がりがあると言われています。
この「山田錦」は、全体の80パーセント程度が兵庫で作られていると言われています。ただ日田でも、少なくはあるもののきちんと育てられており、そのおいしさは折り紙付きです。
ただし「山田錦と日田の水を使って育てられている」という地酒であっても、「山田錦自体はほかの県のものを使っている」というところも珍しくありません。もちろんほかの県の山田錦を使ったからといって、そのお酒の味が悪くなるわけではありません。
ただ「せっかく日田に行ったのだから、水も米も日田のもので造ったお酒を飲みたい」「地酒を飲むのであれば、その土地でとれる水、その土地でとれる米、その土地の蔵元で作られた酒でなければ嫌だ」というのであれば、「日田の山田錦」を使って作っている、と明言しているお酒を選ぶとよいでしょう。数は少ないながらも、いくつかはヒットするはずです。
おわりに
おいしい水と美しい景色に囲まれた日田は、「ヒノヒカリ」をはじめとして、おいしいお米がたくさんできています。お米も、味や品種によってまったく味わいが異なるので、ぜひ食べてみたいものですね。
「地酒に使われているお米は、必ずしもその地方でとれたお米ではない」というのは意外と知られていないことです。「その県でとれたものでつくられた地酒」にこだわるのであれば、きちんとチェックしてから買い求めることが重要です。
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